グループCEOメッセージ

グループCEO 取締役社長
櫻田 謙悟

VUCAの時代 ~環境認識~

現代は、VUCA*と呼ばれる不安定で不確実性が高く、複雑かつあいまいな時代と言われています。国内における人口減少、急速な高齢化はもちろんのこと、海外においても、大規模災害の常態化、気候変動といった環境問題、テロ攻撃をはじめとした情勢不安、さらには貧困や人権問題など、本当にさまざまな社会的課題が顕在化してきています。
加えて、テクノロジー分野の課題も表面化してきており、「デジタル・ディスラプション」、すなわち、指数関数的に進化するテクノロジーとそれに伴うお客さまの行動変化は、社会的なインパクトが非常に大きい破壊的なイノベーションであると考えます。AI(人工知能)・ブロックチェーン・IoT(Internet of Things)などのデジタル技術の進化やモバイルの普及によって、グローバルベースで産業構造が激変するリスクとチャンスの時代が到来したと確信しています。
このように、当社グループを取り巻く経営環境は大きく変化しており、その変化は今後ますます加速していくことが予想されます。
* VUCA: Volatility(不安定性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもの。

トランスフォーメーション ~中期経営計画~

何が起こるかわからない時代だからこそ、企業が持続的な成長を果たしていくためには、ぶれない信念・ビジョンを持つ必要があります。当社グループの経営理念は、保険を基盤としてさらに幅広い事業活動を通じ、「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献する」ことであり、これこそが、2010年4月SOMPOホールディングス発足以降、一貫して変わらない、ぶれない信念です。
2016年度からスタートした中期経営計画において、この信念にもとづき「安心・安全・健康のテーマパーク」の構築をビジョンとして掲げています。各事業の「ビジネスモデル」の変革を進め、グループ全体の「事業ポートフォリオ」を変革することで、「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーションを実現します。こうした従来の延長線上にはない新たなビジネスモデルの創出によって、新たな価値を創造できると考えます。この実現には、経営トップの強いリーダーシップが必要であり、自らトランスフォーメーションを牽引していくつもりです。

企業価値向上に向けて ~安心・安全・健康のテーマパーク~

では、当社グループの目指す「安心・安全・健康のテーマパーク」とはどういった姿なのか。それは「安心・安全・健康」というテーマのもと、保険にとどまらない幅広い事業展開やデジタル技術の活用により、お客さまの幸せな人生をひとつなぎで支えていく、そのようなグループの姿です。
一流のテーマパークでは、優れたサービスが提供され、アトラクションに乗っている「オン」の時間だけでなく、乗っていない「オフ」の時間も来場するお客さまを楽しませています。
当社グループに置き換えてみると、例えば一般的な損害保険は、1年間の保険契約であり、毎年契約を更新する仕組みとなっています。一方で、保険金をお支払いする事故は、多くのお客さまにとってはそれほど頻繁に起こるものではありません。お客さまと接する「オン」の時間は限られています。
当社グループは、お客さまと接点を持たない「オフ」の時間を「オン」の時間に変え、お客さまに「安心・安全・健康」に過ごしていただくための価値を提供し続けていきます。介護・ヘルスケア事業などの「新たな事業・サービス」の展開や、デジタル技術の活用は、まさにお客さまとの新たな接点であり、新たな価値を提供していくものです。こうした取組みを通じ、「安心・安全・健康のテーマパーク」を実現していきます。

足下の経営状況 ~中期経営計画初年度をふりかえって~

中期経営計画の初年度である2016年度は、各事業の着実な取組みの結果、修正連結利益、修正連結ROEともに目標を達成し順調なスタートを切りました。また2016年度は、将来における持続的成長に資するトランスフォーメーションの第一歩を力強く踏み出しましたので、その取組みをご紹介します。

<ブランド>
2016年10月に、当社は「SOMPOホールディングス株式会社」へ社名を変更しました。国内および海外のグループ会社においても、順次「SOMPO」を冠した社名への変更を進めており、グループ・グローバルベースで「安心・安全・健康」の「SOMPO」ブランドを強化していきます。

<SOMPOインターナショナル(エンデュランス)の買収>
当社において過去最大規模の6,831億円を投じてSOMPOインターナショナル(エンデュランス)を買収し、先進国マーケットにおける大きな成長基盤を構築しました。買収完了と同時にブランド名を「SOMPO INTERNATIONAL」へ変更し、すでに「SOMPO」ブランドのもと一体となった運営を開始しています。今後、グローバル人事システムやアンダーライティング(保険引受け)システムの統合を進め、現地に設立したSompo International Holdingsを通じて、元受保険事業、再保険事業、ロイズビジネスの再編を検討していきます。

<介護・ヘルスケア事業>
グループの新たな柱として「世界に誇れる豊かな長寿国日本」の実現を目指し、2015年度に介護事業に本格参入しました。内部管理態勢の強化、プロフェッショナルを育成する「SOMPOケアユニバーシティ」の開設や、ICT(情報通信技術)・デジタル技術の活用、複数の産学連携を通じて、事業基盤の確立を進めています。
安全性・生産性・品質の向上に引き続き努め、急激に進展する高齢化社会において最高品質の介護・ヘルスケアサービスを提供していきます。

<デジタル戦略>
デジタル・ディスラプション(デジタル技術による破壊的イノベーション)を、リスクではなくチャンスに変える取組みとして、2016年4月に東京とシリコンバレーに「SOMPO Digital Lab」を設置しました。
最新デジタル技術の研究やスタートアップ企業とのネットワーキングを急ピッチで進め、より速いスピードでデジタルの世界で起きていることをとらえ、アクションを起こしていきます。

<ガバナンス>
2016年の中期経営計画のスタートとともに、各事業部門に事業オーナーを設置する事業オーナー制を導入しました。このガバナンス体制は、事業戦略立案・投資判断・人材配置などの権限を委譲し、各事業において、事業オーナーのリーダーシップのもと、スピード感を持った意思決定・業務遂行を目的としています。事業全体での戦略遂行やダイナミックな成長戦略の遂行、各種課題への敏捷かつ柔軟な対応が行われており、存在感のある優位性の確立・強化に向けた取組みが着実に進んでいます。また、2017年度からはグループ・チーフオフィサー(CxO)制を導入しました。グループ全体の戦略・重要課題の遂行などのグループ横串機能を発揮し、より強固なガバナンス体制を構築していきます。

これからの成長ストーリー

グローバルトップ10水準の利益・ROEの実現へ向けて
まずは各事業オーナーの指揮のもと、国内損保、国内生保、介護・ヘルスケア、海外保険の各事業が、着実に成長していくことが必要と考えています。また、戦略的リスク経営(ERM)のもと、政策株式のコンスタントな売却や自然災害リスクのコントロール強化などを通じてさらなる資本余力を創出し、規律あるM&Aや国内生保、介護・ヘルスケア事業などの成長分野へ資源投入することで、利益・ROEの向上、株主還元の拡充への循環を生み出し、目指す姿であるグローバルトップ10水準の利益・ROEの実現を目指します。
2017年度は、中期経営計画の2年目として、2016年度に始めた取組みに対して着実に結果を出し、成長に向けた各事業の取組みをさらに加速させ、引き続き「安心・安全・健康のテーマパーク」構築に向けたトランスフォーメーションを進めていきます。

未来へ向けて新たな価値を創造する
当社グループのトランスフォーメーションは、国連が、人間、地球および繁栄のための行動計画として定める「持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)」にも貢献できるものだと考えています。
ステークホルダーの要請に応えていくことは、グループの持続的成長に欠かせません。SDGsに集約された世界共通の達成目標をヒントに、顕在化している社会的課題の解決はもちろん、未来に求められるものを見極め、価値を創造していかなければなりません。そして、こうした未来を起点にした価値創造に不可欠なのが、商品・サービスや事業プロセスに、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)への配慮を組み込んでいくことです。
当社グループは、例えば、気候変動の「緩和」「適応」に資する商品・サービスを開発・提供するとともに、温室効果ガス(GHG)排出量の中長期削減目標の設定、ダイバーシティやワークスタイル・イノベーション、ガバナンス強化などの事業プロセスにおいて、ESGに関する課題に取り組んでいます。既存のCSR重点課題についても、ステークホルダーの皆さまとのダイアログを重ねながら、より未来志向のものへと見直しています。
ESGに関する課題に取り組むことで、保険事業における、発展途上国での保険へのアクセスの向上などを通じたインクルーシブな国際社会への貢献や、高齢化が進む日本において社会的意義の大きい介護事業への参入など、これから強まる社会的要請が何かを見通して、事業そのものによる社会的課題へのソリューションの提供ができ、それがサステナブルな社会へと導く社会的変革をもたらすものと考えます。さらに、企業間で連携するとともに、政府や市民社会など多様なステークホルダーと対話し協働することで、社会のトランスフォーメーションに必要な大きなインパク トを生み出せると認識しています。


当社グループは、よりよい未来へのビジネス・ソリューション・プロバイダーとして、「安心・安全・健康」に資するお客さまの幅広いライフステージや日常生活を総合的にサポートしていきます。そして、「安心・安全・健康のテーマパーク」という世界でも類を見ないグループビジョンを目指すなかで、グループを成長させ、レジリエントでサステナブルな社会の実現に寄与していきます。